217305 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

口美庵 kuchimi-an ~シドニーゲイの日々

口美庵 kuchimi-an ~シドニーゲイの日々

vol, 30 「15km」

私は警察官が好きだ。消防署員も好きだ。ガードマンだって、運送屋の兄ちゃんだって、郵便局員だって好きだ。そう、ただの制服好き、ユニフォームフェチなのだ。どんな不細工な男でもユニフォームを着込めば、あら不思議、最低20ポイントは好感度がアップしてしまう。これはピシッとしたスーツにだって応用される。スーツ姿の殿方はステキだ。ああ、アッパレ制服、万歳ユニフォーム。

車を運転してるときにも、私はわき目を絶やさない。トンボ並みの視野の広さであちこちを見回しては人間…、いや男ウォッチングをしている。どこかに警官はいないか、休憩中の消防署員はいないか、道路工事中の上半身裸お兄ちゃんはいないか、常に神経をとがらせている。何度も事故に遭いそうになったことがあるが、こればっかりは止めれない。至福のひと時。

今日も仕事中、車で移動することがあったので、ウキウキしながらアスファルトを走る。車の多いところで通りを渡れず困っているお兄様を発見、即座に車を止めては通してあげる、後ろからのクラクションなど耳に入らない、どうでもいい、お兄様の笑顔だけしか目に入らない。片手をあげて挨拶なんかしてくれようものなら、私は快感に酔いしれ、それだけで夜ベッドに入るまでほくそ笑むことだろう。彼の後に続こうとしたコギャルどもは見なかったフリをして、思いきりアクセルを踏む。殺すぞ。ヽ(゚Д゚ )

お気に入りのCDなんか聞きながら走り続ける。私は車の中で大声で歌う癖がある、傍からその光景を見た人はどう思っているのだろう。他人はどうでもいいが、知り合いには見られたくないなと切に思う。余談だが、お気に入りの音楽をかけながら走行しているとき、おもわずその曲に合わせて踊りだしてしまい、見事電柱にぶつかったという友達がいる。あほうである。ちなみにかかっていた曲は中森明菜の「Desire」だったそうな。

さて今度は警察官を発見。なんて運のいい一日だろう。私の顔はにやけっ放しである。ゎ━ヽ(*´∀`)ノ━ぃ が、しかし、通りを挟んで反対側にも警官がいる。 ( ´∀`)ノ ハハハ…? しかも、最初の警官が私の方を見て手を振っている、手招きをしている、こっちへ来いと呼んでいる。 ( ´∀`)ノ ……。 歩道に寄せて停車した私をジロジロ眺めてから、彼は言う。

「飛ばしてたねえ~、何事?」

どんよりと曇っているのにかけているサングラスがやけに黒い。目がまるで見えない。「15kmもオーバーしてたよ、気付かなかったの?」、目が見えないから表情が読めない、しかし笑っている様子はない。「何かあるの、理由?」、さらに彼は問う。私は答える。

「…何も覚えてません…」


私は警察官が嫌いである…。


© Rakuten Group, Inc.